序章

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 全ての妖が悪者だと思えないのに、どうして彼らは全てを消し去ろうとしているのだろう。  私は思っていても言い出せないことをひたすらに考える。この村では妖葬班は絶対。そもそも妖葬班に逆らう者などいないけれど、きっと私のような人も中にはいるのではないか。そうは言っても話す相手などほとんどいなかった。  私は普段から村の外れにある神社、宮守(みやもり)神社から外に出ない。神社には幼馴染である昂枝(たかえ)と、そのご両親の三人、そして私、笹野(ささの)結望(ゆの)の四人で暮らしている。私の両親は物心着いた時には既に他界していた。宮守家の人達が私を引き取ってから少しの間は外に出たりしていたが、私の見た目が“普通”ではない為蔑んだ目で見られ続けた。それから、私は此処を出なくなった。  そんな私はおよそふた月後に十七を迎える。今日も一人で、日課である掃き掃除をこなしていた。自宅の裏側辺りに溜まった枯葉を集めていると、突然目の前を何かがぴゅんっと通り過ぎるのが見えた。一瞬のことで瞬きを数度繰り返してしまう。
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