四章

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「……羅刹様」 『……のう、空砂よ。直接対話をするのは久方ぶりじゃな』  社の奥、神様を祀る様に厳重に管理され、姿を目の当たりにする事は出来ないが、しっかりと声が聞こえてくる。年齢は不確かだが、人間で考えた際不惑程のように思えた。鬼族としての品格と威厳さを持ち合わせていて、そしてその声は、確かに眠っている間に聞いた声と同じだった。  私は隣にいる深守に「羅刹様だわ……」と呟く。  空砂さんは私と違い、はっきりと意識のある状態で羅刹様と向き合っていた。何より、物静かな雰囲気の彼が、少しだけだけれど焦った様子にも見えた。 「羅刹様、儂は何も間違っておらぬ……、儂は鬼族の為に生きてきたのじゃから」 『お主が鬼族を愛しておるのは知っておる……。我が息子として苦労を掛けていることもな』  労いの言葉を伝える羅刹様は、自身の知る鬼族とは思えない程優しく、あたたかみのある声音で語りかけた。 「息子……っ!?」昂枝は驚いて声を上げる。「……折成お前は知っていたのか?」 「いや、初めて知った……」  折成さんはこめかみを掻きながら答えた。  それに対して想埜は口を抑えながら、
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