四章

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「ふざけるな! 純血以外認めねぇ素振り見せといて、テメェが純血じゃねぇのかよ……っ!! しかもテメェの身内を殺してたって、なんだよ……意味がわからねぇよ!」  今にも飛び掛りそうな勢いで折成さんは叫んだ。想埜と海祢さんが両脇から抑えるが、“純血”であり、大切な家族の成兎さんを殺された現実は無くならない。膝を折り「クソッ!」と大粒の涙を零す姿に、私はどう声を掛けたら正解なのかわからなくて、慰める事さえ出来なかった。 「それで……、羅刹様のお気持ち聞いて、アンタは……何をしたら満足なんだい」  深守は私の肩を抱きながら問い掛ける。  私達の足元で狐達も行く末を見守っている様だ。 「……儂は」 『……空砂は私と一緒に死ぬのが一番じゃ。お主によって救われたのも事実。じゃが……お主が犯した罪も、私と同様等しく裁かれなくてはならぬ』 「羅刹様……っ」 『――何、今更怖気付いておるのか。人を殺める事、それは何れ自身にも返ってくるものじゃ』  羅刹様はただ、ただ優しく言った。優しく死を促す姿が、反対に恐怖心を煽っている。これなら直接死ねと言われた方がまだ良い方だ。
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