四章

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 深守は紀江と結江に出会う前、長生きが故に毎日が退屈で、飽き飽きしていた事があった。  それ故に、このまま何もせず生き続けるくらいなら、力を使って周りの役に立ち、そして寿命が尽きるのを待とう――そう考えた結果、見返りを求めず力を浪費し続けた。  そのおかげか、自身に使うには勿体ない状態にまで寿命が迫っていた。 (だけど……あの時出会ってしまったから)  そう、偶然にも紀江に出会ってしまった。  助けられて、再会して、本当の愛を知った。  ――この先も二人と共に過ごしたい。  日々を過ごしながら深守は感じ始めた。尚のことこの力は大切な人の為だけに使おう、そうすればこの先、彼女達が生きている間くらいは見守り続ける事が出来る。  生きる事が楽しく、幸せだ。  改めて実感していたのに、あの日平穏は消え去ってしまった。  力を酷使しなければ、今頃きっといとも簡単に結望を救い出せていたはずなのに――そう思っても使って出ていった力は戻って来ない。  結望の怪我を治すには、自身の命と引き換えるしかなかった。  やっと出来た生きる理由が目の前にあるからこそ、ひとつ決断をしなくてはならなかった。
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