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本当の本当に最後の機会だ。
深守は結望の前で初めて涙を流しながら言った。
「結望……、お願いよ。アタシの為に……生きておくれ」結望の額に唇を落とす。「……アンタはアタシの全てだよ」
昂枝達に後は頼んだよ、と見渡しながら微笑んだ。
「お前……」昂枝は呟く。
折成は深守の方へ出ようとするが、昂枝に遮られてしまう。
「おい……っ最悪死ぬんだぞ!?」
「これでいいのよ! ……これでアタシは満足だよ。だって…結望の為になるんですもの! アタシは、この子の為なら死ぬのだって怖くないわ!」
深守は言い切った。
結望を抱き締める様に力を振り絞る。無数の傷口に金色の光が灯り、みるみるうちに結望の傷が癒えていくのを、昂枝達は黙って見守った――。
「……ん……」
私は重たい瞼をゆっくりと開くと、ぱちぱちと上下させた。
空砂さんによって生死をさ迷った私は、何とか生き延びたようだった。これも、深守のお陰だろう。
「目覚めたか」
「心配したぞ……!」
私を覗き込みながら、折成さんと昂枝は嬉しそうに声を掛けた。
傍で祈るようにしていた想埜も海祢さんも、ほっと胸を撫で下ろす。
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