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「…?」
私は近くにあるおそらく“それ”の足跡を見つけると、森の奥へと目を向けた。
毎日同じ過程を過ごしているのに、珍しいこともあるもんだ。
日々、何事もなく過ぎ去って欲しいと願い続けていたけれど、この“何か”に胸を掴まれて、無視してはいけないと思ってしまった。
(少しくらい、許されるよね…?)
竹箒をその場に置くと、私は足跡の続く方へと足を運ぶ。
小さな足跡は、動物のようだ。
しかし、この辺りで動物など滅多と見ることは出来ない。いるのは家畜動物くらいで、理由はわからなかったが犬や猫も数は少なく触れる機会もあまりなかった。
少し入って見当たらなかったら戻ろう。私は草木を掻き分けながら森の中へと入り、足跡の犯人を探す。
サクサクと草を踏む音、パキッと小枝を踏む音。耳を澄ませばとても静かな空気感で嫌いじゃないと思った。
ここら辺は表と違い、妖葬班は来ない。正確には来れない、はずだ。近くに裏道はあるものの、神社と自宅を繋ぐ経路のようなもので、一般の人が使うことはほとんどないからだ。そもそも、そこに人がいたら例え妖葬班でも不審者扱いになってしまうような…気がする。神社周辺に妖の出没情報など聞いたこともないし、きっと安全地帯なのではと思っていた。
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