序章

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「話が見えないんだが……?」 「え…えっと、…足を引っ掛けてしまってね? その衝撃で鼻緒が切れてしまって、指の間にも力がかかってしまったから……それで…なんだけど……」  昂枝は目を細めながら「うーん」と考える。「まぁ…お前が嘘つく性格とは思えないしな。そもそもここは妖も存在する村だし、そのくらいちょっとやそっとあってもおかしくないんじゃないか?」  絶対にそうだ、と一人納得したように頷く。 「そんなもの…なのかしら…?」 「そんなもんだろ。ていうかよかったじゃねぇか。草履履く度痛がる必要が無くなったんだぞ」  そう言われてみて「………確かに、それは……一理あるかも」  綺麗になった足を拭き、草履を履き直す。 「………あっ、……どうしましょう。夕飯の支度まだなの」 「ははっ突然だな。じゃあ、たまにはみんなで作るか」  昂枝は笑いながら私の頭をぽんぽんと撫でる。  私達はまずご飯の準備だ、と不思議な出来事を考えるのは後回しにして、急いで炊事場へと向かった。
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