69人が本棚に入れています
本棚に追加
「話が見えないんだが……?」
「え…えっと、…足を引っ掛けてしまってね? その衝撃で鼻緒が切れてしまって、指の間にも力がかかってしまったから……それで…なんだけど……」
昂枝は目を細めながら「うーん」と考える。「まぁ…お前が嘘つく性格とは思えないしな。そもそもここは妖も存在する村だし、そのくらいちょっとやそっとあってもおかしくないんじゃないか?」
絶対にそうだ、と一人納得したように頷く。
「そんなもの…なのかしら…?」
「そんなもんだろ。ていうかよかったじゃねぇか。草履履く度痛がる必要が無くなったんだぞ」
そう言われてみて「………確かに、それは……一理あるかも」
綺麗になった足を拭き、草履を履き直す。
「………あっ、……どうしましょう。夕飯の支度まだなの」
「ははっ突然だな。じゃあ、たまにはみんなで作るか」
昂枝は笑いながら私の頭をぽんぽんと撫でる。
私達はまずご飯の準備だ、と不思議な出来事を考えるのは後回しにして、急いで炊事場へと向かった。
最初のコメントを投稿しよう!