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次の日の朝、ニックはパソコンの画面を見つめていた。アルファベットが羅列し、ロボットのプログラムが表示されている。 「ジャック。こちらは準備OKだ。そっちはどうかな?」 ニックが問いかけると、イヤホンからジャックの明るい声が聞こえた。 「はいはーい!こちらジャック!ダイアナさんと庭を散歩中だよー!出口まであと200mってところかな?」 「よし。それじゃあ始めるよ」 「りょうかーい!」 ニックが高速でキーボードを叩くと、パソコンが文章で応える。 『Press any key to continue・・・_』 ニックはPAと打ち込んだ。その途端、ニックの造ったロボットたちがおかしな動きを始めた。 万が一の時を考えて仕込んだ誤作動用プログラムを起動したのだ。城の中、町の人々、国中が大混乱になった。 その混乱に乗じて国から抜け出すというニックの計画は、うまくいっている。ジャックにはすべて話した上で協力を頼んだ。ダイアナを安全に素早く連れ出すためには、それが一番だと判断した。それも、うまくいっている。 「さぁて。最後の仕上げだ。うまく行ってくれ。頼むよ…頭の中では成功しているんだ。行け……さあ!起きるんだ!タチアナ!」 「ニックはどこだ!どうせ部屋だろ!連れてこい!ええい!鬱陶しい!こいつらを止めろ!いっそ壊してしまえ!」 と国王が叫んでいる間もニックの指は高速で動き続け、パソコンは延々と同じ応答をしている。 『Press any key to continue・・・_』 それに対してニックは、ひたすら物騒な単語を入力しているが配線に繋がれたタチアナは目を覚まさない。 「あとは脳に刺激を与えるだけのはずなのに…どの命令が正しいんだ!もう時間が無い!」 『Press any key to continue・・・_』 「分かってる!分かってるよ!くそっ……もうヤケクソだ!タチアナが無事なら構うものか!」 焦るニックがkillと打ち込むとタチアナの瞼が動いた。成功したらしい。とすればあとは―― 『Press any key to continue・・・_』 相変わらず同じ応答のパソコンにPAPAと指示した。その動きと起き上がったタチアナがナイフで襲いかかってくるのとは、ほぼ同時だった。 タチアナが手にしていたのは、朝、ニックがリンゴ剥いて、そのままにしていたナイフだった。しまったと思った時には、ニックの視界は暗くなっていた。
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