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正直このインターフォン越しで警察手帳を見せられて『警察です』と来られることに緊張した、というのも事実である。
かと言って事件に関わることは知らないし、死んだ女性も知らないし、殺された時間である夕方には家にはいなかった。
夜に帰宅したから犯人とはでくわしてはないはず。
『あの?』
「あ、はい! あ、当日の話ですよね。そのーその日は夜に、夜8時に帰宅して……」
『詳しくはご自宅にお伺いして直接お話しをお聞きしてもよろしいでしょうか?』
「え、は、はい……」
更なる高まる心臓の音。自分、取り調べに協力するのか?
『どなたかおいででしたか?』
「え、は……」
ガチャ
「晴美、危ないだろ」
「尚徳……」
奥の部屋に戻っていた尚徳が会話中にインターフォンの電源を右手でブチっと切った。
「お前知らんのか?」
「なに?」
「テレビとかでやってるだろ、都市伝説」
「何よ都市伝説って。殺人事件が都市伝説に関係するの?」
尚徳は首を横に振る。
「違う。とある都市伝説の話」
「たしかに……あの刑事さんも怪しいけどあの刑事さんが変なお化けとかそんなの?」
「バカか。ちゃんと話を聞け」
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