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とりあえず、コクコクと頷いてみる。すると、女性が泣き崩れた。
「奏くん……! 本当に良かった……」
「奥さん、旦那さんの状態を調べますので、少し下がっていてもらえますか?」
「は、はい。お願いします!」
……奥さん?
今、女性を奥さんと言ったか?
いやいやいや。俺は結婚していた覚えなどないぞ。それに、数年間、彼女も居なかった。こんな可愛い女性には会ったこともない。
一体、何がどうなってるんだ……?
「飯島さん。あなたは車に撥ねられて、3ヶ月間、意識不明の重体でした。今はまだ体調も万全ではないでしょうし、少しずつリハビリをして退院を目指しましょう。幸い、骨折はしていなかったので、明日の午後に頭部MRIを撮りましょう」
俺は、頭を打ったのか?
記憶が無いだけで、実はこの可愛い女性と結婚していた?
それとも、同姓同名の別人と、中身が入れ替わったりなんかしちゃったのか?
ダメだ、全く分からない。頭がズキズキと痛み、これ以上考えるのを、脳が停止させようとしているような感覚に陥った。
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