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「く……狂ってる……」
「あら、私は奏くんを救ってあげたのよ? 身体が治ったら、私と同じ会社で夫婦として働くの。そして……」
美影は自分のお腹の辺りをそっと撫でた。
「私と奏くんの子供と、ずっと一緒に仲良く暮らすのよ」
俺との子供!?
俺はそんなことをした覚えはない。そもそも、美影自体を知らなかったのに、どうしてそんなことが出来る!?
「奏くんが寝てる間に、種を貰ったのよ。痛くないように、優しく優しく……ね」
吐き気がする。この女は狂ってる。
俺はなんとかして起き上がろうとした。……が、美影に押さえつけられた。
「いい子にしててよ、奏くん。そうすれば、何もかも上手く行くわ」
「冗談じゃない! 顔も名前も知らない女に俺の人生を奪われてたまるか!」
「……なら、死んでもらうしかないわね」
「なっ……、ぐっ……!」
美影が俺の首に手をかけた。
「せっかく生き残れたのにね。私はお腹の子と幸せになるわ」
ここまで……なのか……?
ブラック会社で働いて、不当な残業をさせられて……。ボロボロになりながら、それでも俺は人生を諦めたりはしていなかった。いつか……いつか、幸せになれることを夢見てーー。
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