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「飯島!!」
意識が遠のく中で、誰かの呼ぶ声がした。首から手が離れ、呼吸しようとして咽る。
「何するのよ! 離して!」
涙が溜まった目を必死に開け、揉み合っている人物を確認した。
「え……、社長……?」
そこには、俺が勤めるブラック会社の社長がいた。美影の腕を掴み、俺の頭の上にあったナースコールを押す。
「飯島、無事か!?」
「は、はい……」
社長に羽交い締めにされながらも、必死に抵抗している美影。しかし、ナースコールで駆けつけた看護師も加わって、なんとか取り押さえた。
一体、これは……?
俺は、まだ夢を見ているのか?
次に、バタバタと廊下を走る音がして、医師と警備員が病室に飛び込んできた。
「警察を呼んでくれ! この女が、飯島の首を締めていたんだ!」
「飯島さん、身体は大丈夫ですか? ゆっくり呼吸をしてください」
医師が、俺の背中をさすってくれた。段々と呼吸が落ち着いてくる。
間もなくして警察が到着し、美影は暴れながら連行されていった。
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