私の気持ち? その2

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私の気持ち? その2

(なんでここにいるの?それよりなんで、呑気に手なんか振ってるの?) 混乱して言葉が出てこない。 維紗はつかつかと歩み寄って来ると、少し強引に私をから引き離した。 「俺の彼女に何か用?」 という言葉にドキッとした。思わず維紗を見上げたが、維紗は無表情でサラの方を見ている。甘い雰囲気は微塵もない。 「俺、彼女に手、出されたら許せないんだけど?」 冷ややかな声で静かに言った。 これも演技なのだろうか?だったらすごい。名優になれるんじゃないだろうか。維紗の声には確かな怒りが含まれていた。 誰も何も言い返さない。 維紗は私の肩を庇うように抱いた。 「行くぞ。」 有無を言わさない、でも気遣いを含んだ強さで、私を教室から連れ出した。しばらくそのまま廊下を歩く。維紗が触れている肩が温かい・・・・・・。 廊下を曲って会議室が見えなくなり、私が親密すぎる距離感に耐えられなくなったところで維紗はやっと足を止めた。 「大丈夫?」 助けてくれたんだ・・・・・・。理解が遅れてやってくる。私は張り詰めていた息を吐いた。 「助けてくれて、あの・・・・・・ありがとう。」 維紗が大きく目を見開いた。それから優しく笑う。 「どういたしまして。」 胸の奥が暖かくなるような優しい眼差し。 「どうして・・・・・・。あの、」 何と聞くべきだろう。 どうしてあそこにいるって、分かったんですか?どうして助けに来てくれたんですか?ああなるって、予測してたんですか? 聞きたいことが多すぎてまとまらない。 「学校中で囁かれるような噂なら、当然俺の耳にも入ってくる。それに予想してなかったわけでもないし・・・・・・。」 私の心の内を読んだように維紗が答えた。 、のは少し引っかかりを感じるが、助けに来てくれたのだから目を瞑ろう。 私はお礼を言って、帰ろうと維紗に背を向けた。 歩き出したところで手首を掴まれた。いや、掴んだと言うには弱すぎるかもしれない。ためらいがちな手が、私を引き止める。 「美緒ちゃん?」 確かめるように呼ばれた。振り返る。 維紗が迷いを含んだ表情で私を見つめている。 以外に思う。いつも自信に溢れていそうな維紗も、こんな表情をすることがあるのか。維紗は何か言いかけて、 「ごめん。・・・・・・やっぱり何でもない。」 手が離れる。 何を言いかけたの?そう聞きたいのに、口から言葉が出てこない。 「じゃあ、気を付けて帰ってね。」 だんだん遠くなる維紗の背中を見送りながら、どこか寂しく思う自分がいた。
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