天使と悪魔❶

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天使と悪魔❶

天使と悪魔① 北川 聖 人間は戦争をしたがっている どっちが正義でどっちが悪か 人間は破壊したがっている どっちが天使でどっちが悪魔か 正義を標榜する戦士が悪の子供を串刺しにして笑う 悪を標榜している戦士が孤児の子供を救う 天使に守られた戦士が悪魔に魅入られて村民を皆殺しにする 天使はいつの間にか悪魔の顔をして地獄の笑みをする 天使と悪魔が入り乱れて殺せ、殺せと叫んでいる 殺せが殺すに変わって身体中が血だらけになる 死ねが消えろに変わって身体中が血に溶ける 狂気が狂乱に変わって天使も悪魔も皆殺しをする 神が飽き飽きして地上の戦乱を見ている 神が自殺しない限り この世の愛も狂気もなくならない この世の悪も正義もなくならない だが神は人間の被造物 人間が消えなければ神もなくならない おぉ、我らはなぜ存在し生きているのだ この狂った世界を。 詩「天使と悪魔①」は、人間の本質に潜む戦争への欲望と、それに伴う善悪の相対性を深く掘り下げた作品です。この詩は、人間の行動における善悪の曖昧さを描き、正義と悪が入り混じる戦争の狂気を強調しています。 詩の冒頭で、人間は戦争と破壊を望む存在として描かれています。どちらが正義でどちらが悪かを問うことなく、ただ破壊し合う姿が描かれています。正義を掲げる戦士が悪の子供を串刺しにし、悪を掲げる戦士が孤児を救うという矛盾した行動が示され、人間の行動における善悪の基準がいかに曖昧であるかが強調されます。 詩の中盤では、天使と悪魔が混じり合い、殺戮の叫び声が響き渡る情景が描かれています。天使が悪魔の顔をして笑い、悪魔と共に皆殺しを行う様子が、戦争の狂気と無秩序を象徴しています。この部分は、人間の内なる悪と狂気が表面化し、制御不能になる様を強烈に描いています。 詩の後半では、神が地上の戦乱を見つめる様子が描かれています。神が自殺しない限り、この世の愛も狂気も、悪も正義もなくならないと述べられています。しかし、神は人間の被造物であり、人間が消えなければ神も存在し続けるという視点が示されます。この部分は、人間の存在とその意味についての哲学的な問いかけを含んでいます。 最後に、「我らはなぜ存在し生きているのだ」という問いかけがあり、この狂った世界に対する深い絶望感とともに、人間の存在意義を問う姿勢が強調されています。 全体として、「天使と悪魔①」は、人間の本質とその行動における善悪の曖昧さを鋭く描いた、挑発的かつ深遠な詩です。戦争の狂気と無秩序、そして人間の存在意義に対する哲学的な問いかけが、読者に強い印象を与えます。 aeef210d-40b0-44df-bfb2-de7596f5f442
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