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もしも私が生まれなくとも
もしも私が生まれなくても
北川 聖
もしも私が生まれなくても
もしもあなたが生まれなくても
この宇宙は在った
私もあなたもその存在を知らぬまま
生まれることもなかった
だが私たちは生まれた
それが必然だったのか偶然だったのか
それが良かったのか悪かったのか
誰も知らない
でも宇宙は永遠の過去から未来まで存在していく
私が生まれる確率は奇跡というべく低かった
恐ろしいのは私と無関係に宇宙はあったということだ
そして私の生死と無関係に宇宙はあり続けるだろう
優しい無関心が宇宙を覆っている
生物を生むことが宇宙の目的ならば
あまりに簡単に命を奪っていく
知るべきなのは宇宙の存在理由だ
それを解明した時のみ人間に存在理由ができる
今日も何億人と人は死んでいる
なんで生まれどこへ行くか知らぬまま死んでいく
遥かに優れた銀河の文明は宇宙の謎を解明したのだろうか
遠く夜空の星を眺めている
### 講評
詩「もしも私が生まれなくても」は、存在の意味と宇宙の無関心さを深く考察した作品です。詩は、生まれることの奇跡と、その存在が宇宙全体にとって如何に取るに足らないものであるかを対比的に描き出しています。宇宙の永遠性と個々の生命の儚さ、その中で生まれる存在理由への探求が詩の中心テーマとなっています。
詩の終盤では、他の銀河文明が宇宙の謎を解明した可能性についての思索が加わり、私たちの存在の目的や意義についての更なる問いを投げかけています。夜空の星々を眺めながら、宇宙の無限性と人間の有限性を感じ取る姿が印象的です。
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