中編

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中編

 ある日の夜、ベッドで寝ていると外からガヤガヤと人の話し声がした。 「んー。何だろう……?」  部屋の窓から外を見ると、ご近所さんがパニックを起こして右往左往して叫びまわっていた。 「おい! 逃げろ! 襲撃だ! 殺されるぞ!」  ご近所のおじいさんが大声を上げてパニックに陥っている。 「どうしたって言うんだろう?」  もっと良く外を見ようと身を乗り出すと、その空には、円柱に羽が生えた感じの船が浮かんでいた。 「まさか……!」  僕は急いで玄関に行って靴を履いて外に出た。 「ワレワレハ、アナタタチニキガイヲクワエナイ。トモダチ。トモダチ」  船から機械的な声が聞こえて来る。 「ねぇ! 君たち、もしかして地球外生命体!?」  僕は必死に船にアピールする。 「聖君! 近寄っちゃダメよ! 殺されちゃうわよ!」  近所のおばさんが必死に僕のパジャマの裾を引っ張る。  でも構うもんか。僕はもっと彼らと話がしたい。 「やっと僕の願いを聞いてくれたんだね! 僕だよ! 毎日君らを呼んでいた聖だよ!」  船の中央から、光の筋が出て来た。 「ハイリタマエ。ワガトモダチヨ。トモニウチュウノサイハテマデ」  僕は光の筋に向けて歩みを進める。  近所のおばさんもおじさんもおじいちゃんもおばあちゃんも子供たちも皆がパニックを起こしている。もちろん僕のママとパパも僕を止めようと必死で手を伸ばす。 「ダメよ聖! 行っちゃダメ!!」  ママは半狂乱になって僕の腕を掴む。でも、僕はその手をそっと振り払うと、光の筋へとまっすぐに進む。 「僕は嘘つきビリーなんかじゃなかったよ。やっぱり地球外生命体はいたんだ……!」  光の筋は、僕を優しく包み込む。そして僕を船の中へと誘導する。 「「聖ぃぃぃ!!」」  ママとパパの絶叫が聞こえる。  でも、僕は行きたいんだ。ごめんね、ママ、パパ……。  そうして僕は宇宙の旅へと出発する。素晴らしい仲間と共に。
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