嘘つきビリー

後編

　小さな町で起こった不思議な出来事に、マスコミはこぞって取材に訪れた。

　両親やご近所さんの目の前で起こった地球外生命体による男児の誘拐劇は、世界中で面白おかしく書きたてられた。

「嘘つきビリーは、嘘つきなんかじゃなかったんだな」
「俺、あいつの事ずっと嘘つきだって思ってた」
「私もよ……」
「俺たちクラス中、いや、この町中の皆がビリーの事嘘つきだって思ってたよな。でも、あいつの言っている事は本当だった。あいつは、宇宙人に連れ去られて行ったんだ……」

「ビリー、元気にしているかな……？」

　きっと聖は、今頃あれほどに恋焦がれた地球外生命体と幸せに過ごしているだろう。人間ゆえの命の期限はあるが、その生を終えるまで、宇宙のあちこちを旅する事だろう。

　それから、その町では言う事を聞かない子供を脅す文句として、「ビリーみたく宇宙人に連れ去られるぞ」と言うようになったという。

　ビリー、聖は、今とても幸せな人生を送っていると思うのだが……。

────了