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前編
今日は彼らと交信できるかな!?
今日は彼らと会えるかな!?
今日こそ……僕の願いを叶えて、神様!
***
僕は宮前聖。小学校五年生だ。友達からは、嘘つきビリーって呼ばれている。
僕は嘘なんてついていないのに、クラスの皆は寄ってたかって僕を嘘つき呼ばわりする。
それっていうのも、僕が毎晩宇宙人との交信を試みているからなんだ。僕は、毎晩ベランダから彼らに向けて交信の儀式をしている。ネットで調べて、出来る範囲のありとあらゆる方法を試している。
今夜も、遠い遠い宇宙の向こうにいる生命体に向けて声を張り上げる。
「宇宙にいるまだ見た事のないみなさーん! 僕とお話しませんかー!?」
パパに誕生日に買ってもらった天体望遠鏡で金星を見る。
「金星には生命体はいないかなぁ? 確認したって話は聞かないなぁ。でも、もっと遠い星にならきっと生命体がいるはずなんだ!」
だって、良く考えてみてよ。この広い広い宇宙の中で、生命体が地球上の生き物だけだって思う方が傲慢じゃない? 傲慢って言葉を最近覚えたから使いたいだけなんだけど。
とにかく、地球だけが生命体を有している星だなんて考え方は間違っている。きっと、きっと他の星にも生命体はいるはずなんだ。
「やーい! 嘘つきビリー! 今日も変な儀式やってるのかよー!」
塾帰りの同級生が僕の姿を見付けてからかってくる。
「僕は嘘つきなんかじゃない! 今にきっと地球外生命体が姿を現してくれるはずなんだ!」
僕だって負けないよ。僕は自分を信じているから、こんな風にからかわれたっていじめられたってへこたれないんだ。
「誰もお前となんて遊ばないからな! 嘘つきビリー!」
同級生は捨て台詞を吐いて去って行く。
いいさ、そんなくだらない仲間はいらないさ。僕には地球外生命体っていう友達がいるんだから。
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