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 遠藤七海、24歳の新進女優で昨今の映画やドラマ、CMにも出演回数が増えてきている女優だ。 『はい。彼女もリストアップされてますね。何か問題あります?』 「前に別の映画で関わったけど、この子は170センチないだろう?」 『え? でも、えーっと……公式プロフィール上は170センチですよ?』 「いや、岡田、オマエな、女優の公称身長なんか当てにならないことぐらい知ってるだろ」  事務所のプロフィールに書かれている身長が正確である保証はどこにもない、それは誰もが知っていることだ。  井出が5年前に撮影した映画では、遠藤七海は19歳だった。たしかにそのときも公称・170センチだった。  しかし、映画は古代を舞台にしているため、その時代をモチーフにした特殊な衣装が必要なため正確な採寸を取ったところ、遠藤七海は166センチと記録されていた。  身長が公称と異なることぐらいよくあることだし、起用する役は物語の中で重要ではない、脇役にすぎなかったので井出は問題視することはなかった。  しかし、今回は原作者の意向もある。もし本当は170センチ未満だとわかってしまっては炎上してしまうこともありえる。  過去の経緯を井出は岡田に説明した。 『なるほど。そんなことが。でも、いまは本当に170とかいうことは?』 「いやいやいや、19歳のときに170に届いていない女が、成長期でもないのに、その後に伸びるってことはないだろ。ほかにも候補はいるんだ。そっちを対象にしよう」 『そうですね。では、一人目から見ていきますか』  それからWeb会議は一時間以上続いた。  結局、主演には21歳の吉川亜香里(よしかわあかり)が起用され、映画は公開第一週めにランキングで1位を記録した。  この年を代表する作品として、映画に関連する賞にノミネートも果たした。  
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