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もう一度、追いかけてあの女性スタイリストを捕まえれば
『当時は166センチだったよな?』
と問いただせるかもしれない、井出はそう考えたが足は引き返そうとしなかった。
いまは遠藤七海の専属スタイリストである彼女が不利益となることを話すとは思えない。までメディア関係者が近くにいるなら尚更だ。
ホテルの地下にある駐車場を歩きながら、井出はある考えも思いつく。
「そもそも、あの映画で166センチとされていたことが過小申告だった可能性もあるのか……?」
その独り言に、誰も返す者はいない。
あの頃、過小申告をする必要があったとするならば理由はあるのだろうか?
あの映画の出演俳優はアイドルグループで身長が172センチという公称だったはずだが巷ではよく170センチもないと言われていて――、とも過去の記憶を探ったが、井出はその続きを考えることをやめた。
何かに裏切られていたのだと、井出は考えた。
何かに裏切られていたから、いま自分の頭の中で辻褄が合わなくなっているのだと。誰が自分を惑わしたのか、答えを出せないまま井出は車に乗り込んだ。
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