1人が本棚に入れています
本棚に追加
【2】君が好き
金曜日、ぎっさのこと好きになったのに気がついた。
その翌日、土日だった。
マジで最悪だった……。
変だな。前なら土日が来ても別に気にしなかったのに。
ぎっさに会いたいな~、としか思っていなかった。
やっと学校に来れた……!
教室に入っても、中には私一人。暗い教室を、電源を押して明るくする。
まあ、日光が入ってるからつけなくても明るいけど。
いつも通り七時二十五分過ぎ。早すぎるかな……?
五分ぐらい待つと二、三人来る。それまでは一人でイラスト描き。
「タッ、タッ、タッ……」
廊下から足音が聞こえた。
ぎっさが来た……⁉︎
ドアの方を見ると、友達と仲良さそうに教室へ入ってきたぎっさがいた。
ドキッと心臓が跳ねた。
挨拶をしようとしたが、緊張しすぎて声が出ない。
いや、待て……? いつも挨拶してないから挨拶しなくてもいいのか?
かと言っても、ずっとジッと見ていると怪しまれそうなので目を逸らす。
席について一歩ノートの日記を書いていた。
「ぎっさ~‼︎」
しばらくすると、ぎっさの友達が来た。
二人は仲良く話している。
うん……、かっこいいなぁ……。
あまり目の開いていない朝でも、ぎっさの顔だけははっきり見える。
日記を書き終わると、和香ちゃんが来た。
書いている間にも野栄君とか、高倉大賀とか、尾谷夏月とか来てるんだけど。
友達と好きな人以外は目にはいらないからね。興味ないから。
「おはよ~! 和香ちゃん‼︎」
「おはよー、大景ちゃん」
女子が来た瞬間、私はニッコニコで挨拶をする。
それまで誰もいなかったのように。
「今日ね、教室にね、一番に来たんだよ‼︎」
「えっ、はや!」
「その次にね、ぎっさ来たんだよ!」
「へぇー? 二人きりだったんだ?」
えっ⁉︎ まあそうなんだけど。
和香ちゃんって、私の弱点知ってんのかなくらいに突くなぁ……。
う~、恥ずかしくなってきた~……。
「うん……そうだよ?」
「良かったねっ!」
うん! マジで良かった。
学校に行ってはじめて会うのが好きな人っていうのはいいよ~。
ほんっと、かっこよかった!
「うん! めっちゃ良かった‼︎」
あっ…………。
「へー? 良かったね!」
もー、和香ちゃん! ほんっと恥ずかしいよ……。
顔が少し赤くなった私を見て、和香ちゃんはニヤニヤっとした。
「結愛ちゃん、私ね、好きな人変わった」
「えっ⁉︎ 誰なの?」
私が小学一年生の頃から友達の佐藤結愛に言うと、結愛は驚いていた。
結愛とは親友だしね。教えてやろう!
「えっとね~……」
教えようとした時、チャイムが鳴った。
数学の先生が入ってきて授業が始まった。
数学の授業では、三、四人の班を作って教え合いをするのだ。
私は結愛と友末と、班長の浦宮咲太の四人班。
授業を受けていると、結愛から小さな手紙が来た。
『好きな人って誰?』
あ、そっかそっか! 教えてなかったんだった。
『ぎっさだよ!』
私はこう書いて結愛に渡した。
「えっ⁉︎」と顔をしてこちらを見た結愛。
あははっ、そうだよ~。ぎっさだよ~?という顔をして結愛を見る。
「えっ、何それ? 見せて」
友末が小さな手紙を見て言った。
結愛が友末に渡した。友末はそれを見て、驚いた顔をした。
「はっ⁉︎ お前、ぎっさ好きなのか?」
「う、まぁ……うん」
「へぇ~? ぎっさに言っていい?」
「えっ、ダメダメ‼︎」
も~、友末に言わなけりゃ良かったなー。
翌日の休み時間。
あちらこちらに付箋、付箋……。
その付箋には、愛愛傘が描いてあり、大景と可佐木の名前が書かれている。
えっ……、と、私はその場に立ちつくした。
最初のコメントを投稿しよう!