【3】中学生のイジリ

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【3】中学生のイジリ

 何、コレ……。  ……ってか、こんな事したらギッサにバレるじゃん! 「あれっ? 大景ちゃん、背中に何かついてるよ?」 「えっ、ありがとう!」  やっぱ女子は男子と違って優しいなぁ~。  ……あれ、今何かつけなかった?  そう思って背中を漁ると、付箋が一つついていた。  取って見ると、愛愛傘。やっぱり可佐木と大景の文字。  中学生になったら女子も男子も関係なくイジるんだな。怖。  授業中はもちろん収まってる。  そりゃそうか。先生にバレたら怒られるもんな。  授業に使うためのiPadを取りに並んでいる時、後ろに並んでいた後藤(ごとう)笑理(えみり)に話しかけられた。 「あれはないと思う……。大丈夫?」 「うん……大丈夫」  やっぱり私と同じ小学校の子は優しいなぁ。  すると次は、通りかかった席に座っていた和香ちゃんに話しかけられた。 「大丈夫? 私はいつだって大景ちゃんの味方だよ!」 「うん、ありがと。大丈夫だよ」  もうちょっとで病みそうなとこだけど……。 「そう? でも、何かあったら言うんだよ!」 「……うん……」  私、ここのクラスじゃなけりゃ良かったって思ってたけど、友達がいればなんとかなりそう。  このイジリも、時間が経てば終わるだろうし。  翌日。  今日は朝二番目。だから教室の電気つけなくてもいいはず。  なのに、一番目の人は友達とどっか行ってるので、私が電気をつける。  どうか次にギッサは来ないでください……!  そう思いながら朝の準備をしていると、ギッサが来た。  あー、最悪。何か言われそう。 「……ぉはよ」  私がそう言うと、ギッサはペコっとお辞儀をした。  ふふっと少し笑みが溢れる。  ギッサは昨日のことは何も言わずにスルーしていた。  優しいなぁ……。私がぎっさの立場だったら絶対何か言うけど。  いや、それは私の心が狭いだけか。アハハ……。  机の中を漁るとカサッと音が鳴った。 「ん? あ……」  あー、まだあったんだ。不透明の色のついた付箋。  見られないように手でグシャッと丸めた。少し殺意を入れて。  六限目の授業が終わった。  今日は昨日のイジリがなかった。  良かった……。今日もイジられたら精神的に死ぬところだった……。 「あ、大景ちゃん。今日はなくて良かったね」 「うん、本当良かった」  でも、私とギッサの席は通路を挟んで隣だから、バレただろう。  でもギッサは何も言わない。  いつも通り、私が話しかけたら返してくれる。  昨日のことを何も聞かない。  ……優しい。気にしないでくれてるんだ。  バレてなくてもバレてても、飽きるまで私はギッサが好き。
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