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【7】夏祭り
夏祭り当日。
ルンルンで待ち合わせ場所に行く私。
なぜならスマホを買ってもらったからだ。
ふははっ、これで友達と連絡交換出来る!
あーあ、ギッサが来たなら連絡交換出来るのに……。
まっ、いつか出来るでしょー。
私の恋愛は“いつか”ばっかり。
“いつか”告白できたら、“いつか”話せたら、“いつか”……。
いつかいつかって後に置きすぎて、失恋するんだ。
那津とも、そうだったし……。
あー、ダメダメ。那津との事は忘れないと。
あんな黒歴史、思い出したくない。
「あ、はな!」
「あ、莉咲!」
花夜の家に集合だったけど、途中で会ったからこのまま留愛先輩のとこ行こっ。
「あ! 莉咲、スマホ買ったんだ!」
「うん! 見て見て! 後ろに推しのステッカーあるんだ~」
「いいねぇ~、可愛い。私も買ってもらったら連絡交換しよ」
「いいよいいよ!」
なんて楽しそうに話してる私と花夜。
花夜は小学一年生からの友達。まあ、親友だ。
六年前からずっと仲が良い。
ちょっと喧嘩もしたけど、仲直りしてめっちゃ仲良し。
* * *
夏祭り一日目が終わり、今日は二日目。
本当は今日ギッサとまわる予定だったんだけど……。
まぁ、仕方ないか……。
今はもうすぐ帰る時間。
留愛先輩と二人でまわっている。
昨日、和香ちゃんなどの友達と連絡交換をした。
和香ちゃんと会えたの、嬉しかったな……。
ぴーなっつからLINEが来た。
それには、「ギッサいた」と書いてある。
……え? ギッサが、いる?
まさかそんな、でももしいたら、いや嘘かも。
なんて考えてる暇はなく、「どこいた?」と打った。
どこに行ったかは分からないけど見かけたらしい。
どうしてだか緊張してきた。
きっとこれは、嘘じゃないって事だ。
ギッサがいるのなら、会いたい。
会う時間が少ないとしても、会いたい。
そして、話したい……!
「やっほ」
ぴーなっつの声がした。
振り返ると、そこにはぴーなっつと——ギッサがいた。
久しぶりだけど、ギッサはやっぱりギッサで、カッコよくて、変わってなかった。
この人が、私が会いたかった好きな人なんだ。
違う、違う。ギッサに会うだけじゃないんだ。
「あの、えっと、ギッサ」
「はい……」
「ら、LINE交換しない? 私、スマホ買ったし……」
「いいよ」
あー、これを言うのがこんなに緊張する事なんて。
そして、OKされることが嬉しいなんて。
一緒にまわろうかと思ったけど、時間が時間だから、また来週遊ぼうという事になった。
いつかじゃなくて、来週。
またギッサに会えるのが楽しみだな——。
そう思いながら、留愛先輩と帰った。
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