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ドキドキ…
終始機嫌が良かった蒼介は、僕と一緒に親子丼とみそ汁を作った。
作ったと言っても蒼介は、料理は全くしたことがないとの事で、玉ねぎの皮を剥いたり、洗い物をしたり、僕の作業をニコニコしながら見てるだけだった。
キャベツの千切りをリズム良く包丁で刻んでいたら、蒼介が「凄いなぁ」と目を丸くして誉めてくれた。
手元が狂うからやめて欲しかったけど、調子に乗ってラーメンどんぶりくらいの大きさのザルに山盛りになるまでキャベツを刻んだ。
……明日はお好み焼きにしようと思う。
蒼介はメンチカツを皿に盛り、適量な千切りキャベツとミニトマトを盛り付けていた。その時も蒼介は楽しそうだった。
「蒼介 楽しそうだね。自分の家でもしたら?家の人喜ぶんじゃない?」
僕がそう言うと、意外な言葉が返ってきた。
「俺ね、1人暮らしなんだ。だから1人で作って1人で食べるのって やなんだよねぇ」
蒼介は僕を見てにこりと笑って首を傾けた。
どう反応すればいいか分からなかった。
僕はこの2週間なんの疑問にも思わず、蒼介と晩ごはんを一緒に食べていた。蒼介の事を何も知らなかったと痛感した。
「ごめんなさい。僕、何も知らなかったから…」
「うん、俺が言わなかったから、知らなくて当然だよ。今度 遊びにおいで」
サラリと言われたその言葉は、とても魅惑的な誘いに聞こえた。
「―――いいんですか?」
「いいよ。何なら泊まっていってもいいし」
冗談とも、本気ともわからない蒼介のその言葉。どう反応すればいいのか正解が分からなくて。
ドキドキが止まらない―――…。
僕ばかり翻弄されて本当、ズルい
―――――✂️
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