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※ 触れる
ねぇ、蒼介、今度っていつ?
僕の気持ちに気付いてる?
分かっていて誘ってる?
分かっていて からかってる?
僕の思考はフル回転でグルグルと回りショート寸前で、戸惑う僕を他所に、蒼介はニコニコしながら楽しそうにお皿にラップをしている。
「海里、ラップ無くなった。予備ある?」
「あ、あります」
僕はハッとして、慌ててシンク上の吊り戸棚の扉を開けた。ラップの予備を取り出そうとして手を伸ばしたが届かない。
うぅっ…、いつも踏み台を使ってるのに動揺してたからカッコ悪い。
「ああ、これね」
僕の直ぐ横に蒼介が来て、手を伸ばしラップを取り出した。
お礼を言うつもりで、顔を見上げたら、蒼介も顔を僕の方に向けて覗き込んで見下ろしていた。
「―――あっ……っ!」
意外と顔が近くて…
蒼介の唇が直ぐそこにあって…
その唇に掠るように触れた。
僕は目を見開き、固まって身動きできずに蒼介を見つめてしまった。
手にしたラップをシンク横に置いてから、蒼介は戸惑う僕に優しく笑いかけた。
「ねぇ海里、キスした事ある?」
そう言って熱が籠った瞳でじっと僕を見つめ、彼は甘く囁く。
僕は小さく首を横に振る。
「嫌なら避けて―――…」
僕をじっと見つめながら、僕の頬に手を添えて、ゆっくりと顔を近付ける。
―――嫌じゃない。
嫌じゃないから僕は瞳を閉じた。
重なった唇は、少し暖かくて、そして、柔らかな感触だった。
はじめてのキスで、ドキドキして直立不動になる。
唇を合わせるだけのキスから、徐々に唇を食まれ、啄むように、されるがままにチュッチュッと音を立てられながら、下唇をチュッと音を立て吸われる――――…
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