※ 触れる

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ダイニングテーブルの上にウェットティッシュがあり、蒼介は手に着いた汚れをそれで拭いてから、僕のと自身に着いていた汚れを拭き取っていく。 未だに蒼介に跨がったままの僕は、クタリとして身体を預けるようにくっついている。 そんな僕をギュッと抱きしめて、頭を撫でてくれている。 蒼介の匂いと腕の中が心地よい。 少し冷静になり今更だけど どうして、…キスしたんだろう どうして、…抜き合ってしまったんだろう。 誰よりも特別扱いされたいと思ってはいたけれど、こんな筈ではなかったのに……。 「こんなことした俺の事、イヤ?気持ち悪い?」 僕は肩に顔を付けたまま頸を横に振る。 「気持ち良かった?この先許せそう? ―――ん?海里、教えて?」 僕の頬を両手で触れて、顔を上げさせられた。視線が絡み合う。 「身体だけの関係…ですか?」 「海里は俺の恋人になりたい? 俺の事が好きなの?ゲイなの?」 「……僕…、ゲイなのかは 分からないけど、……蒼介が好き…です」 「んー、じゃあ、付き合う?海里はいい子だし、気に入ってるけど……。だけど本当に良いの?俺なんかにつかまっちゃって。海里の好きと同じ熱量を俺が返せないかもしれないよ?」 特定の恋人を作らないって噂で聞いていた。それなのに僕に付き合う?って言ってくれた。 だから答えは決まっている。 「はい、付き合って下さい」 ハッキリと言うと、少し驚いたような表情を一瞬してから蒼介は笑みを浮かべて言う。 「じゃあ、今から俺たちは恋人同士な?どうする? 後で俺の家に来る?そろそろ松田も帰って来るだろうしさぁ」 「……え……っ?」 蒼介はさらに誘うような妖艶な笑みを溢す。 「海里、続きをする覚悟が決まっていたら一緒においで?俺の家に来たらその時は ――――抱くよ?」 彼は甘く囁き、そして僕はなんの躊躇いもなく、焼けつくような熱に浮かされ衝動に駆られるように頷き――――…。 「……一緒に行く」 恥ずかしいけれど、嬉しかった。 僕はただひたすらに蒼介が欲しかったから――――…。 ―――✂️ お星さま200個目 ありがとうございます! https://estar.jp/page/info/congratulations/star/26234437?star=200
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