日常になりつつある非日常

2/5
前へ
/159ページ
次へ
あの日カレーを食べ終えてから、連絡先を交換した。 スマホを見るたび、蒼介の連絡先をみて、嬉しくて ニヤニヤが止まらなかった。 そしてあの日からずっと、僕の心はどこかふわふわしている。蒼介と自宅でほぼ毎日一緒にご飯を食べている事も夢みたいだった。 小説を読んでいたら、スマホに着信音が鳴った。画面を見ると蒼介からだった。 『今日は親子丼か照り焼きが食べたい。帰り食材買いに一緒に行こう?昇降口で待ってる』 蒼介からの誘い。デートみたいで嬉しいと思ってしまう。 直ぐに返信を送って、また蒼介からも返信が来た。 こうした連絡1つで気分が上昇し、スマホの画面を見てニヤニヤしてしまう。 さっきの会話にも蒼介の名前が出てきて、つい聞き耳を立ててしまうし、人混みでも蒼介の後ろ姿を見付けてしまう。 見付ける事ができると嬉しくて、なんとなくその日1日頑張れるような気がしてた。 HRが終わり周りはガヤガヤとしながら教室を出て行く。 急いで教科書をリュックに入れて席を立った時、佐久間と、罰ゲームで勝った幾田、妹尾が僕の席に来た。 「海里、帰りどっか寄ってかね?遊びに行こうぜ」 「あっ、ごめんね。先約あるんだ」 「そっか。まぁ、しょうがねぇな。また今度遊びに行こうぜ?」 「ん、また誘って?じゃあね」 僕は急いで昇降口まで行く。 掲示板がある壁を背にして蒼介が立って待っていた。ついでにキレイな女の子2人が一緒にいた。 嫌だな、何か話しかけづらいなと思い、人混みの中 端の方に寄って、暫く様子をみていたら――… 一緒にいる髪の長い女の子が、蒼介の腕を両手で絡めて、強請るようにして掴んでるように見えた。なんだか胸まで押し付けてるようにも見えた。 その仕草を見てズキンと胸が痛くなった。 蒼介は振り払わず そのままだった。
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!

373人が本棚に入れています
本棚に追加