日常になりつつある非日常

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※ 一部修正しました。 蒼介、その腕を払い退けてよ。 ズキン… ズキン… 蒼介、目の前のその人に笑いかけないでよ。 ズキン… ズキン… え、目の前の女の子の頬をなんで触ってるの? ズキン… ズキン… そうか、これは蒼介の周りでは当たり前の光景なのかもしれない。 いかにも遊んでそうで、ヤリチンだと言われてて、そういう相手は選び放題だと噂されてるし。 ズキン…と胸が痛む。 勘違いするなと、まるで僕に見せ付けているように見える。 やだな、卑屈になってる。 僕たちは別に付き合っている訳じゃないのに。 蒼介が女の子と一緒にいて無性にイラつくのは、胸が痛むのは、ただ僕が勝手に嫉妬してるだけなのに。 分かってるけど、嫌だな…。 見たくなかったな…。 好きな人が他の人を触ったり、触られたりするの嫌だな…。 「―――海里?」 蒼介が気付いてくれたので、ぎこちないかもしれないけど、笑顔で僕は蒼介に近付く。 「ごめんなさい。待たせて」 ぼくはちゃんと笑えているだろうか…。 「海里、ごめん。今日 他に約束あったの忘れてて…。また別の日でもいい?ごめんな?今度 埋め合わせするから」 この時、はじめて女の子の腕を退かして、両手を合わせて僕に謝った。 予想外の言葉だった。 蒼介から言い出した約束なのに…。 僕はこれにもショックを受けてしまった。 それでも、あからさまに落胆の表情、声にならないようにしないと。と思ってはいたけれど――… 「―――そうですか。別にいいです。じゃあ」 僕は思いの外 素っ気なく答えてしまったし、脚が勝手にスタスタと勢い良く歩き出してしまった。 自分で自分をコントロールが出来なかった。 「あっ、海里?!」 名前を呼ばれたけれど、人混みで聞こえない振りをした。 蒼介にとっては、ただの軽い約束だったんだと思うと悲しくなった。 勝手に期待して、浮かれていたなんて恥ずかしいな……。 気持ちがドンドン沈んで行く。 こうなるなら佐久間たちと一緒に行けば良かった……。 恋をすると、こんなにも気持ちの乱高下が激しいだなんて知らなかった。
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