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第二章:グウェンフゥイファル、誕生
そして更に、とある伯爵家にもう一人女の赤ん坊が生まれた。
この物語の、もう一人の主人公である。
伯爵家の当主は気のいい男だったが、女性が好むような華やかな見た目や、社交界でもてはやされるような機知もなく、ただ温厚さだけが取柄で、《守護宝石》も半貴石のアメジスト。
はなかなか良い縁談に恵まれず、結婚もなかば諦めていた頃に、没落貴族である子爵令嬢となんとか婚姻を結び、ささやかな家庭を築くことが出来た。
そうして生まれた最初の娘。
子供の名前は『グウェンフゥイファル』。
舌を噛みそうな長ったらしい名前だが、伯爵は省略した愛称などではなく、必ず「グウェンフゥイファルや」「グウェンフゥイファルや」と正式な名前で呼んだ。
いわく「天使の羽がひらひらと舞い降りるような美しい名前」だそうで、「この子に、これ以上ぴったりな名前があるだろうか」とご満悦だ。
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