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第一章:ガラハド、誕生
ここに、生を受けたばかりの赤子がいる。
赤子は男の子であり、この物語の主人公だ。
その親は侯爵という高い身分の貴族で、子供は『ガラハド』と名付けられた。
強そうな名前である。
侯爵家では、ここ三代ほど跡取りの《守護宝石》が、ルビー、エメラルド、サファイアと四大貴石のものが続いている。
この国では、《守護宝石》に四大貴石を持つ者の方が偉いと思われていたため、ベンウィック侯爵は自分を含め三代が貴石持ちであることを鼻にかけていた。
当然、次に生まれる跡取りもまた、四大貴石を《守護宝石》に持つ子供、それも出来れば残り一つ、宝石の中でも最も価値が高いとされるダイヤモンドが与えられるのではと、否が応にも期待が高まるのは、人として理解出来ることではあった。
しかし時に、高すぎる親の期待が重すぎて、子供が不幸になるのはよくある話。
この子供もそうならなければよいのだが……。
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