第三章:ガラハド父の憂鬱

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第三章:ガラハド父の憂鬱

 ガーネットと真珠達が生まれて数年が経った。  ガラハドが生まれる前、三代に(わた)って四大貴石を《守護宝石》に持つことを鼻にかけまくっていたベンウィック侯爵だったが、今では社交界に顔を出すたびに肩身の狭い心持ちがする。  ガラハドの《守護宝石》として、ガーネットが(あらわ)れた時。  思えばあれ以来自分の凋落(ちょうらく)が始まったのだ、と思い起こす。  ガラハドの《守護宝石》がガーネットだと知って失神した侯爵夫人は、それでも「わたくし、必ずダイヤモンドの子を産んでみせますわ!」と頑張ったが、その後生まれた三人の子が、いずれもダイヤモンドどころか四大貴石ですらなかったことで、心が折れてしまった。  夫人が心身ともにボロボロになっているのを見かね、侯爵が「もう、よい」と告げたその日、一晩中夫人の寝室から泣き声が聞こえたという。
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