11人が本棚に入れています
本棚に追加
第三章:ガラハド父の憂鬱
ガーネットと真珠達が生まれて数年が経った。
ガラハドが生まれる前、三代に亘って四大貴石を《守護宝石》に持つことを鼻にかけまくっていたベンウィック侯爵だったが、今では社交界に顔を出すたびに肩身の狭い心持ちがする。
ガラハドの《守護宝石》として、ガーネットが顕れた時。
思えばあれ以来自分の凋落が始まったのだ、と思い起こす。
ガラハドの《守護宝石》がガーネットだと知って失神した侯爵夫人は、それでも「わたくし、必ずダイヤモンドの子を産んでみせますわ!」と頑張ったが、その後生まれた三人の子が、いずれもダイヤモンドどころか四大貴石ですらなかったことで、心が折れてしまった。
夫人が心身ともにボロボロになっているのを見かね、侯爵が「もう、よい」と告げたその日、一晩中夫人の寝室から泣き声が聞こえたという。
最初のコメントを投稿しよう!