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プロローグ
侯爵令嬢にエレノアは幼い頃に決められた婚約者がいた。
彼の名はフランク=ジョリオー、侯爵家の令息だった。
フランクは背も高く整った顔立ちで、勉強もでき運動能力にも優れている。
皆の憧れの高位貴族の令息だった。
エレノアとフランクの婚約は当人同士の意思とは関係なく親同士が決めた政略的なものだった。
この時代の結婚は全て親が決めるものだ。
貴族の政略結婚は当たり前の時代。エレノアも特に異論はなく、それが当たり前だと思ってフランクの婚約者になった。
「君とは学園で口をききたくない。言っておくけど、結婚したらもう君が妻になるわけで僕に自由はなくなる。学生の間くらいは好きに遊ばせてもらうよ」
入学したばかりのエレノアに、彼の言っている意味はあまり理解できなかったが、そういう物なんだと思った。
「結婚したら遊べなくなりますのね。どうぞ思う存分遊んでください」
遊びというものが、まさか女性関係だとは思っていなかったエレノアは快く承諾した。
十五歳のエレノアはまだ子供の体型から抜けきっておらず、幼さが残っていた。
十八歳のフランクには物足りず、子供に見えたのだろう。
彼にはまだ、彼女が類まれなる変貌を遂げ、絶世の美女となる未来はみえていなかった。
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