39人が本棚に入れています
本棚に追加
最終話
二年が経ち、私は学園を卒業する。
私は卒業生代表、総代として壇上でスピーチをしていた。
後輩たちに拍手で見送られて、この学園を卒業する。
大きな花束を持って、先生が待っていてくれる。
「卒業おめでとう」
「ありがとうございます」
先生はそう言うと、花束を渡してくれた。
「やっと教師と生徒という箍が外れた。僕はよく耐えたと思うぞ」
「何を言ってるんですか……」
「決まってるじゃないか。もうエレノアは生徒じゃない」
「ええ」
「それじゃぁ、ダンスを踊ろうか」
私は、ふふっと笑った。
全然悪い気はしなかった。
いや、むしろ嬉しい。
「ここでですか?この後のパーティーでですか?」
「いや、僕の家で踊ろう」
「家?」
「そう。君が卒業したら、僕は君とダンスを踊って、それから結婚を申し込むつもりだ。だから、誰にも邪魔されない場所の方がいいだろう」
「結婚?」
「そう。僕と結婚して欲しい」
婚約も何もかもすっ飛ばして結婚するのかしら……
けれど、学園時代ずっと先生と一緒だった。
だから婚約期間なんていらない。
「先生。白状草のお茶を飲ませて」
「え?」
「絶対嘘じゃないってわかって欲しいから」
「嘘つくの?」
「いいえ、絶対嘘じゃないプロポーズの返事をしたいから」
「マジか……」
「ええ。真面目よ」
「いや、それは、いいから、今、頼む。今返事をしてくれ」
「……」
「いや、もう……本当に、頼むよ」
先生の困った顔が愛おしくて、少し意地悪した。
もちろん返事は決まっている。
ーーーーーーーーーーーー完ーーーーーーー
最初のコメントを投稿しよう!