第七章 離婚までのカウントダウン

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流れに身を任せてしまいたい本音もある。でも、そんなことしちゃったら?  もっともっと、今よりもっと大翔のことが大好きになって、別れたくなくなって、『離婚したくない!』って泣いてすがってしまうかもしれない。  でも、もしもそういう関係になったら、離婚する時期を遅らせることができるかもしれない。大翔だって、離婚したくないって思ってくれるかもしれない。  でも……。 「さすがに……無理だよ……」  私は絞り出すように言葉を吐き出した。 無理だよ。時期を遅らせたって離婚することは決まっているのだから。そんなの辛すぎる、耐えられない……。 「そっか……」  大翔は小さく呟いて、後ろから抱きしめていた手をそっとほどいた。  そして、そのまま静かにリビングから出て行った。  蛇口から流れる水を見ながら、ボーっとしていた。  使わないなら止めなさいよ、もったいない、とは思うのだけれど、体が動かなかった。  心が、悲鳴を上げている。それを必死で押し殺すのに精いっぱいで、他にはなにもできなかった。 好きだって言ったら、全部崩れる。気持ちを悟られちゃいけない。押し殺せ。感情を押し殺すのは、私の得意分野でしょ?  辛いときも苦しいときも、泣き叫びたいときも、いつも私は心の中で押しとどめてきた。  大丈夫、今回だって上手くやれる。  私は、幸せにはなれない運命だから。そういう人生だから。      
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