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流れに身を任せてしまいたい本音もある。でも、そんなことしちゃったら?
もっともっと、今よりもっと大翔のことが大好きになって、別れたくなくなって、『離婚したくない!』って泣いてすがってしまうかもしれない。
でも、もしもそういう関係になったら、離婚する時期を遅らせることができるかもしれない。大翔だって、離婚したくないって思ってくれるかもしれない。
でも……。
「さすがに……無理だよ……」
私は絞り出すように言葉を吐き出した。
無理だよ。時期を遅らせたって離婚することは決まっているのだから。そんなの辛すぎる、耐えられない……。
「そっか……」
大翔は小さく呟いて、後ろから抱きしめていた手をそっとほどいた。
そして、そのまま静かにリビングから出て行った。
蛇口から流れる水を見ながら、ボーっとしていた。
使わないなら止めなさいよ、もったいない、とは思うのだけれど、体が動かなかった。
心が、悲鳴を上げている。それを必死で押し殺すのに精いっぱいで、他にはなにもできなかった。
好きだって言ったら、全部崩れる。気持ちを悟られちゃいけない。押し殺せ。感情を押し殺すのは、私の得意分野でしょ?
辛いときも苦しいときも、泣き叫びたいときも、いつも私は心の中で押しとどめてきた。
大丈夫、今回だって上手くやれる。
私は、幸せにはなれない運命だから。そういう人生だから。
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