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昨日帰ってくるのが遅かったのは、これが原因か?
「佐伯という男、仕事はできるが、何人もの営業事務の女の子が音を上げて異動を願い出たらしいじゃないか。パワハラか? それともセクハラか?」
俺が眉間に皺を寄せて、怒りの顔で報告書を読んでいるのに対して、高城は飄々としている。
「それについては、婚約が決定した時に散々調べ尽くしたじゃないですか。不愛想で仕事に厳しいところがあっただけで、佐伯さん本人に落ち度はなかったって。しかも捺美さんは佐伯さんの下で働いて良かったって上司に報告していたそうじゃないですか」
「じゃあ、なんで密室に入ったんだよ。パワハラだろ、捺美の仕事に文句を言っていたんじゃないのか?」
怒っている俺を見て、高城は呆れたように言う。
「仕事の注意なら別にいいでしょう。社長夫人だからって全てが許されるような環境はいかがなものかと俺は思いますけどね」
ド正論すぎて何も言い返せない。
過保護で過干渉すぎている自覚はあるのでなおさらだ。
「佐伯って男に関していうと、気にするところはそこじゃないと思いますよ?」
「どういうことだ?」
「不愛想で仕事に厳しいけれど、女性社員の評価は高いんですよ。なんでだと思います?」
「イケメンだからか?」
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