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『生意気な子ね。お父さん、捺美が夕飯作らないって言ってるんだけど!』
継母は私を責めて、挙句の果てには父を出してきた。
『捺美、仕事が忙しいのか?』
継娘や継母とは違う、穏やかで優しいトーンで父は話した。
「……うん」
『そうか。だが、仕事は後からいくらでもできるだろ。早く帰ってきなさい』
「……わかった」
父から言われると断れない私。継娘や継母はそれをわかって父を利用してくる。私が父の頼みを断れないように、父も継娘や継母の頼みを断れない。それが、どんな理不尽なことだとしても。
最先端のデザインオフィスは、クリアな白い空間にグリーンの観葉植物が配置されている。広々としたフロアには快適なデスクが並べられ、広々とした窓からは夕日の茜色が差し込んでいる。
自分のデスクに戻り、帰る準備をしていると、職場の同僚の女子たちがそれを目ざとく見つけて寄ってきた。
「工藤さん、また定時上がりですかぁ?」
「合コンとか?」
「可愛い子は飲み会に引っ張りだこでいいなぁ。私は仕事が忙しすぎてそんな暇ないもの」
ニヤニヤしながら嫌味を言ってくる。
私は鞄に書類を詰めながら、彼女たちの顔を見ないで返事をした。
「飲み会じゃないです。用事ができたんです」
(私だって仕事が忙しくて飲み会になんか行く暇ないってば)
心の中で毒づきつつ、苛々した気持ちが隠せなくて、乱暴にペンケースを鞄に押し込んだ。
彼女たちがこんな態度になったのは、自分にも責任があると思っている。慣れ合わないし、言いたいことは面と向かってはっきり言ってしまうし、生意気だと思われても仕方がない。
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