第一章 王子様のプロポーズ

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 佐伯さんに申し訳ない気持ちを残しながらも帰ることにした。  家に帰ると、継母と継娘はソファに座ってテレビを見ながら、ポテトチップスを食べていた。 「もう、遅い~。お腹空いたからお菓子食べちゃったじゃん。これで太ったらあんたのせいだからね」  明るい髪色でパーマをしている継娘は、根がズボラなので毛先が痛んでしまっている。  継母も若い頃は美人だったと思う片鱗は残っているが、きつい性格が顔に表れてしまっていてまるで狐のように目がつり上がっていた。  私は二人を無視してキッチンに立った。帰る途中にスーパーで買ってきた食材を冷蔵庫に入れる。  いつも疲れているように見える父は、ダイニングテーブルに座りながら新聞を読んでいる。テレビとソファを独占され、居場所がないみたいに見える。  どうしてあの二人の言いなりになっているのだろうって思うけれど、私だって自分を犠牲にして二人の言いなりになっているから変わらないか。  似た者親子なのかもしれない。不幸な境遇に抗うほどの熱意がない。自分さえ我慢すれば、見せかけの平和は維持される。  手際よく数品おかずを作り、残ったものはタッパに入れて冷蔵庫に入れておく。これで数日は持つはずだけれど、気まぐれな継娘と継母のことだ。なんだかんだ文句を言って、作りに帰ってこいと要求されそうだ。
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