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「やめてえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」
「やだあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
私の鉢植えを強引に奪い取り、トラックの荷台に乗せて出発する車。
それを阻止しようとしたエリカとエルトンは、道路に勢いよく飛び出してしまったのである。
――嘘だ。
そこに、ワゴン車が突っ込んできた。
――嘘だ。嘘だ、嘘だ嘘だ、嘘だ、嘘嘘嘘嘘嘘!こんなの……こんなの嘘よ、嘘よおおおおおおおおおお!
悲鳴を上げる私の黒い花びらに、血の赤がべったりと付着した。
小さな双子の体はワゴン車のタイヤの下敷きになり、あっけなく肉塊と化したのである。
どうして、こんなことになってしまったのだろう。茫然とする私に、先生の一人の無情な呟きが聞こえた。
「黒いチューリップに固執するなんて……この子たちも所詮呪われた子供だったってことね。奇跡の双子なんて、まったくのでたらめじゃないの……」
許せなかった。
不幸が続いたのは事実。でもなぜ、私一人がその責任をおっかぶせられなければならなかったのだろう。
老朽化している校舎を直せば、きちんとした給食センターに依頼すれば、衛生面の対策をすれば、子供達に注意して川で遊ぶように言えば。みんなみんなみんな、防げたかもしれない事故だったではないか。大人達のミスなのに、何故チューリップである私と、なんの罪もない双子が咎を負わなければならなかったのか。
少なくとも大人達が私を彼等から取り上げなければ、心優しいエリカとエルトンは死なずに済んだかもしれないのに!
――許せない……許せない!こんな、こんな世界なんて!!
私はまだ花が咲いた状態のまま、焼却炉に投げ込まれた。全身を焼き殺される苦痛の中、今度こそ本当の呪詛を願ったのである。
――悪魔でもなんでもいいわ。私に……この私に、あいつらに復讐する力を頂戴!
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