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『第二部 比翼連理 第七章 五里霧の囚獄で』のあらすじ
この作品は、『天と地が手を繋ぎ合うような奇跡の出逢いは、仕組まれた運命の輪環を廻す(第二部 比翼連理 第七章 五里霧の囚獄で)』( https://estar.jp/novels/26217796 )の続きとなっております。
また、物語全体のはじまりは、『天と地が手を繋ぎ合うような奇跡の出逢いは、仕組まれた運命の輪環を廻す(第一部 落花流水 第一章 桜花の降る日に)』( https://estar.jp/novels/26084370 )です。
よろしくお願いいたします。
メイシアを連れ去ろうとするリュイセンを目撃したものの、ルイフォンは阻止することができなかった。その結果、メイシアは〈蝿〉に囚われ、裏切り行為を働いたリュイセンは本人不在のまま、鷹刀一族からの追放処分となった。
リュイセンに斬られた腹の傷のため、ルイフォンは絶対安静を言い渡された。しかし、エルファンが現れ、地下にいる〈ベロ〉と話をしたいと、彼を強引に連れて行く。
エルファンは、〈ケルベロス〉はセレイエのために作られたシステムで、〈天使〉の力を無効化できる。だから、メイシアが『セレイエの〈影〉』にされるのを阻止して欲しい、と〈ベロ〉に頼んだ。しかし、不可能だと言われてしまう。
何故なら、〈ケルベロス〉は『〈天使〉の力の源』を破壊する手段であり、個々の〈天使〉の力を消すものではないからだ、と。
〈ベロ〉が、『〈天使〉の力の源』とは『〈冥王〉』である、と言ったとき、〈ベロ〉に〈悪魔〉の『契約』が発動した。
どうやら『〈冥王〉』という言葉は、王族の『秘密』と関係があるらしい。また、『人』だったときの記憶を持っているために『契約』が発動した、と〈ベロ〉に説明されたことで、〈ケルベロス〉は『人』の記憶を利用して作られていることが判明した。
〈ベロ〉は別れ際、『契約』に抵触するから詳しいことは言えないが、メイシアがセレイエの〈影〉にされることはないから安心するように、と告げた。
リュイセンを憂い、温室に籠もったミンウェイに、シュアンは、リュイセンは愛するミンウェイのために裏切ったのだ、と断言する。シュアンの推測によれば、リュイセンは〈蝿〉に『この薬を投与しなければ、ミンウェイは母親と同じ病で死ぬ』などと言われて従っているのだろう、と。
ミンウェイは、自分の体は母親と違って健康体だと反論するが、シュアンは、リュイセンが信じさえすれば、嘘でもいいんだと言い張る。だが、どちらにせよ、閉じ籠もっていないで、ルイフォンと協力して現状を抜け出すべきだと、ミンウェイは心を入れ替えた。
〈蝿〉の地下研究室で目を覚ましたメイシアは、〈蝿〉に、鷹刀セレイエを見つけるのが目的だ、と言われる。メイシアの中に刻まれた『セレイエの記憶』が居場所を知っているはずだ、と。
また、王族の血を引くメイシアは、『メイシア本人』と『セレイエ』の両方の記憶を同時に持つことが可能であるため、『セレイエの記憶』を思い出しても〈影〉にはならない。リュイセンに教えたことは半分嘘だったと告げられる。
セレイエを探す理由を問うたメイシアに、〈蝿〉は『生を享けた以上、生をまっとうする』という妻との約束を守るために、セレイエと手を組むか、あるいはセレイエを摂政に売って身の安全を確保するためだと答えた。
〈蝿〉はメイシアに、『デヴァイン・シンフォニア計画』は、セレイエが殺された息子を生き返らせるための計画であると教えた。つまり、〈神の御子〉の『ライシェン』は、セレイエの子供のクローンであると。そして、〈蝿〉が『ライシェン』を見せたとき、メイシアの世界は暗転した。
気を失ったメイシアの頭に「『最強の〈天使〉』の力で、ルイフォンと共に『ライシェン』を守って」というセレイエの願いが響き、メイシアはセレイエの記憶を得る。その中で、ライシェンの父親は、先王の甥であり、現女王の婚約者ヤンイェンだと分かる。また、ヤンイェンが先王を殺したのは、息子ライシェンを殺されたためであったと知った。
一方、鷹刀一族の屋敷では、ルイフォンとミンウェイが手を取り合った直後に、口論を始めた。『リュイセンはミンウェイのために裏切った』ことは共通の認識でありながら、リュイセンを弁護するミンウェイに対し、ルイフォンはなんの相談もせずにメイシアを連れ去った兄貴分を許せないと言い張ったためだ。
そこにシュアンが現れ、ハオリュウからの伝言により、ルイフォンは、『メイシアはリュイセンと共に逃げようとしているはずだ』と気づく。そして、リュイセンが〈蝿〉に追い込まれているのなら、弟分の自分こそが助けるべきだと考え直す。
シュアンは、リュイセンは嘘の薬を求めて〈蝿〉に踊らされているのではないか、と持論を主張した。それを聞いたルイフォンは、『天性の勘を持ったリュイセンは嘘には騙されない。つまり〈蝿〉は、ミンウェイに関する抗いようもない事実でリュイセンを従わせたのだ』と気づく。
そして、『ミンウェイが健康であること』こそが、脅しの事実だと悟る。
展望塔に囚われたメイシアは、『セレイエの記憶』の首尾を聞きにきた〈蝿〉に「楽しい記憶しか思い出せない」と嘘を言った。それは、どんな些細な情報も教えたくなかったためと、これからどうすればいいのか考える時間が欲しかったためである。危うい交渉の末、彼女は一週間の猶予をもぎ取った。
リュイセンがメイシアの世話係となり、彼と話す機会を得たが、顔向けできないと、口を閉ざされてしまった。
黄昏どきに紛れ、ファンルゥが、メイシアを助けるために現れた。ファンルゥの考えた方法での脱出は無理だったが、メイシアはファンルゥの『毒針が出る腕輪』が嘘であると気づく。そして、ファンルゥとタオロンに協力してもらう作戦を思いついた。
タオロンはメイシアからの『密書』に従って、〈蝿〉から外出許可を得て、見張りの男に『いい思い』の約束で協力させ、娼館に行く。そこで待っていたのは女装姿のルイフォンだった。密会の場として店を貸す代償として、シャオリエとスーリンに悪ふざけの餌食にされたのだった。
タオロンは正式に味方になり、なんでもするとルイフォンに約束した。同時に、ルイフォンは『何故メイシアは、タオロンの武力で〈蝿〉を捕まえて逃げてくるのではなく、タオロンに苦手な嘘と演技を頼んで、携帯端末を持ってくることを願ったのか』と疑問に思う。
ルイフォンとメイシアは電話での再会を果たした。感極まったメイシアが落ち着いたあと、ルイフォンは彼女に、どうしてタオロンに『〈蝿〉を捕まえて欲しい』と頼まなかったのかを尋ねた。
するとメイシアは、セレイエの記憶を受け取った自分は『デヴァイン・シンフォニア計画』のすべてを知っている。だから、〈蝿〉には情報源としての価値はなくなってしまった。〈蝿〉のことは『捕まえる』ではなくて『殺す』べき。けれど、自分には『殺して』とは言えなかった、と泣き出した。
ルイフォンは、メイシアの気持ちは当然のことだと言い、タオロンには鷹刀一族や〈猫〉からの正式な依頼として、〈蝿〉殺害を頼もうと決める。しかしそのとき、〈蝿〉に引導を渡す役は、リュイセンであるべきだと思い立った。
リュイセンは〈蝿〉に逆らえないのでは? と尋ねるメイシアに、ルイフォンは「俺がリュイセンの束縛を解いてやる」と答える。ルイフォンには、リュイセンが〈蝿〉に従っている理由が分かったのだ。ただし、まだ推測に過ぎない。だから、「これから証拠を手に入れて、リュイセンを解放する」と彼は宣言した。
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