イノチガケ

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 ――弓削社長の部下である編集担当は、若い女性らしい。  メールでやり取りするだけだから、どんな人なのかは知らない。  弓削社長に言われた通り、SNSのアカウントを作った。  そして二回目の動画撮影をすることになる。  今回弓削社長から提案されたのは、飲食業界の裏側をぶっちゃけるというもの。  裏で姑息なことをしている企業を堂々と明かした。  失うものが何もない俺は、まさに無敵。  ペラが驚くほど回り、客観的に見ても今回の動画は面白いと思える。 『車屋君! 今回の動画最高だったよ! すぐに編集させてアップするから、待っててね』  弓削社長からすぐにメールが届く。  やっぱり、ぶっちゃけ話は弓削社長から見ても面白いんだ。  自分の簡素な編集なんかよりも、百倍面白い編集で動画がアップされた。  弓削社長のプッシュもあり、今回の動画はアップと同時にすぐに脚光を浴び、急上昇ランキングにまで上がるようになった。 「マジ……」  やっぱり、コンサルティングって大事なんだ。  それから俺は無我夢中になって、動画撮影を続けた。  三本、四本と、いつの間にか飲食業界や成功している社長たちの裏側を暴露する動画ばかり撮るようになった。  これが人気を生み、瞬く間に登録者数が増えていった。 「もうすぐ一万人か……」  投稿を開始してから五本目の動画。チャンネル登録者数は一万人を超え、再生回数も平均して一万回を超えるようになってきた。 『車屋君、調子いいねぇ。収益化もできてきたことだし、どんどん投稿していこうか』  動画をアップする度に、弓削社長から電話がくるようになった。  こんなにすぐチャンネルを大きくできたのは、弓削社長の支援のおかげだ。  俺は収益の半分をコンサル料として支払おうとしたけど、弓削社長は無償でいいと言ってくれた。  それから俺は、調子に乗るように動画をアップし続けた。
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