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人気が認められてくると、アンチコメントも増えてくる。
悪口や暴露で再生回数を稼ぐなんて卑怯だとか、一度失敗したくせに粋がるなとか、中には容姿を嘲るようなコメントもあった。
もうすでに動画配信の収益だけでサラリーマンの平均年収はサクッと超えている俺からしたら、そんなコメント気にもならない。
むしろ炎上でもなんでも、とにかく見てもらうことが大事だ。
アンチのやつらも全て巻き込む。それが数字を伸ばす極意。
動画配信を始めてから僅か三か月で、俺は一流動画配信者の仲間入りを果たす。
さすがに無償で編集作業までやってもらうのは悪いので、編集は別のところに発注するようにした。
弓削社長はまた「若者が輝いているところが見たいだけだから」なんて言って断ってきたけど、さすがにそれだけは拒否させてもらった。
動画の中の俺は強気で口調も荒くて生意気で……きっとそんな好かれてはいないだろう。
それでも応援してくれる人がいる。
いつの間にか企業案件も増えてきているし、自分の活動に誇りも持てるようになってきた。
……そしてついに、社長だった時代にも住んでいた、麻布十番の高層マンションに引っ越すことになった。
もう、死にたいなんて思わない。むしろ、このまま好きなことだけやって楽して生きてやる。
前の会社を畳んだ時に鼻で笑った社長たちが、手のひらを返して近づいてくる。
えらく滑稽だった。
今のお前らよりも人気だし、稼いでいる。
そのことさえも動画にしてやった。
実名を出して、いたぶるように暴露してみせた。
悪いのは調子に乗っていたあいつらだ。
あいつらは人が苦しんでいる時に、それを楽しむように鼻で笑い、そして光を浴び始めたらここぞとばかりにすり寄ってくる。
弓削社長のように、落ち目の時こそ手を貸すような人間しか、信じられない。
まあだけど、社長なんてそういう自己中心的なやつばっかりだ。
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