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校門を入ったところでみんなと別れて、私は5年3組のげた箱がある北校舎側の昇降口に向かった。
時計の針は、8時18分を指してる。
このくらいの時間なら、もしかして会えるかも?
……あっ。やっぱり、いた!
げた箱に靴をしまった守神くんは、私の目を見てニコッと微笑む。
「森谷さん、おはよう」
森谷さん、だって。
私の名字、覚えてくれてたんだ。
「あっ……おっ……おはよう」
挨拶だけ交わして、守神くんは先に行ってしまった。
なのに、胸のドキドキが止まってくれない。
気品みたいな感じの、特別なオーラを放っているからなのかな?
それに、どうしていつでも、心がとってもキレイなんだろう?
……気になる。
けど、見つめることしかできない臆病な自分が、ときどきすごく情けない。
午前中はなんともなかったのに、昼休み過ぎから急に身体がだるくなってきた。
教室全体に、重苦しい灰色の空気が流れているせい?
でも、みんなの様子はいつもと変わらないし……。
私の勘違いなのかな?
「森谷さん、しんどそうだけど、大丈夫?」
よほどヒドい顔してたのか、4時間目が終わってすぐ、保健委員の百瀬さんに声をかけられた。
「なんか、急に調子悪くなってきて……」
「保健室行く?」
「うん。……そうする」
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