1.誰にも言えないなやみごと

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校門を入ったところでみんなと別れて、私は5年3組のげた箱がある北校舎側の昇降口に向かった。 時計の針は、8時18分を指してる。 このくらいの時間なら、もしかして会えるかも? ……あっ。やっぱり、いた! げた箱に靴をしまった守神くんは、私の目を見てニコッと微笑む。 「森谷さん、おはよう」 森谷さん、だって。 私の名字、覚えてくれてたんだ。 「あっ……おっ……おはよう」 挨拶だけ交わして、守神くんは先に行ってしまった。 なのに、胸のドキドキが止まってくれない。 気品みたいな感じの、特別なオーラを放っているからなのかな? それに、どうしていつでも、心がとってもキレイなんだろう? ……気になる。 けど、見つめることしかできない臆病な自分が、ときどきすごく情けない。  午前中はなんともなかったのに、昼休み過ぎから急に身体がだるくなってきた。 教室全体に、重苦しい灰色の空気が流れているせい? でも、みんなの様子はいつもと変わらないし……。 私の勘違いなのかな? 「森谷さん、しんどそうだけど、大丈夫?」 よほどヒドい顔してたのか、4時間目が終わってすぐ、保健委員の百瀬(ももせ)さんに声をかけられた。 「なんか、急に調子悪くなってきて……」 「保健室行く?」 「うん。……そうする」
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