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SCP-544-JP(創作コミュニティサイト)/SCP Foundation
【D-1104】
「よう、お嬢ちゃん」
◇
SCPっていうのをご存じでしょうか。元々は「ネットに転がっている奇妙な画像に、それっぽいキャプションをつけてキャッキャウフフしようぜ」みたいな、創作オカルトサイトだった気がします。
1つの世界観を共有して、皆で色んな設定を付け加えて遊ぼうぜ、みたいな、TRPGとかが好きな人なら好きそうなコンテンツです。なので私は好きです。
詳しい説明をすると長くなるし、収容クラスとか結構勘違いされやすい設定もあるので、ここではざっくりと「現代の科学では解明できない不思議な物,事象を確保・収容・保管しておこう」という財団による、研究レポートのようなものです。今回のタイトルはSCP544-JPなので、544というIDが振られている、日本支部で取り扱われているオブジェクトだよ、ということです。
SCP544のメタタイトルは『孤独な放送室』。メタタイトルっていうのはクラシックでいうところの『交響曲第5番』を『運命』っていうみたいなやつです。
こいつは廃業になっているデパートで、仮にAさんが侵入すると数分置きに「Aさん、Bさんがお待ちでした」というアナウンスが流れる。するとBさんはAさんのことを忘れ知覚できなくなる、というもの。このBさんに当たる人物というのは繋がりの浅い深いが関係なく、ランダムで選ばれ、Bさんどころか「親戚」とか一括で指定されることもある。
つまり、この建物内にいると誰かから忘れられてしまう。長くいるほどその縁は切れていき、最後には誰からも忘れ去られ、認識されることがなくなる。
ちなみにYouTubeの解説動画とかもあって分かりやすいので、是非見てほしいです。原文は敢えて無機質になっていたりするので、私はもっぱら解説サイトかYouTubeで解説動画を見ています。でも原作記事じゃないと味わえないギミックなんかもあったりするんですよね。
でまぁ、研究するためにDクラス職員という、罪状を軽くしてもらう代わりに実験に協力する犯罪者がいるのですが、彼にマイクとかを持たせて侵入させるんですよ。今回の実験に参加する彼にはD-1104というIDが割り振られています。
このD-1104は殺人犯で、「自分の親戚や被害者の家族から忘れてもらえるなんて最高じゃないか」と軽い気持ちで実験に志願します。でも、段々と世界から切り離されていく感覚に、嫌われていても、好意的な気持ちじゃなくても俺を忘れないでくれ、という気持ちになっていきます。
そして『本日はご来店いただき誠にありがとうございます』という最後のアナウンスが流れ、D-1104は孤独になる。しかし実験はまだ続く。精神的に参りながらも、どこか人間味を感じるアナウンスの声に惹かれ、アナウンスの元、放送室へと足を運ぶ。
アナウンスの正体は、昔ここへ迷い込み、誰からも忘れられてしまった少女だった。皆が少女を忘れたせいでデパートの放送室に囚われることになっていたという。「ここは辛いから早く逃げて」という少女に対してD-1104は「アナウンスなんてのは子どもがやる仕事じゃない」と返す。
そして、世界から忘れられた孤独な放送室の扉が開かれる。
「――よう、お嬢ちゃん」
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
エモいよエモいよ、エモすぎるよ!スピードワゴンも甘いじゃなくてエモいって言って気絶してもうたるよ!!
マジでこんな半狂乱な適当エッセイじゃなくて、ちゃんとした記事とかで読んでほしい……じゃあ何で書いているんだよ俺は……エモいからだよ……。なんか段々とTwitterみたいなノリになってきているな。
あと感動要素としても好きなんですけど、鬱要素としても好きで。
この建物は如月工務店というSCP好きなら聞いただけで「うわ、アイツらかよ」と思うヤバい集団が作った建物なんですけれど、なんでこんな建物を作ったの?という理由がこちら。
依頼内容:迷子がなくなるようなデパートにしたい
如月工務店:OK! それじゃあ迷子をなくせば注文通りだね!
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