一期一会

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「アンジュ、オカネ、ダイジョウブデス」 「あ…日本語」  冷静になって聞いてみると、確かに日本語だ。 「で?何なのさ…どういう関係?」  ナカムが私を(つつ)く。 「私、朝この人にぶつかって吹っ飛ばしちゃって…それでシャツ汚れちゃったからお金渡して」 「杏樹がこの人を吹っ飛ばしたの?マジで⁈」  ナカムが爆笑する。 「キガエアリマシタ。モンダイナイデス」  ジョシュも一緒に笑ってTシャツをピンと張って『一期一会』を見せてきた。 「…お金を返す為にここにいて待っててくれたんですか?」 「right(ライト)…ソウデス」 「え、だって…4時間も」 「オカネ、ダイジ、アンジュ、コマルネ」  そう言ってジョシュがまた満面の笑みを浮かべる。  いくら日向(ひなた)とはいえ10月下旬のこの時期に4時間待っていてくれたなんて…。 「あ…っと、サ…サンキュー」 「No problem(ノープロブレム) ジャア…」  向けられた大きな背中。  私は咄嗟にTシャツの裾を引っ張って引き止めた。 「⁈」  振り返ったジョシュの大きく見開かれた青いビー玉みたいな瞳が私を見つめる。
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