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ありったけ詰め込んだ知識の"三分の一"を出し切り、何とか無事に古典のテストを終えた。
「杏樹、最初の5分めっさうるさかったわ‼︎」
前の席の"ナカム"こと中村結衣が爆笑しながら振り返る。
後ろから流されてくる回答用紙に自分のを重ねてナカムに渡す。
「あー…ごめん‼︎めっさ走ったわ。死ぬかと思った…」
自分の分を渡し終えたナカムが再度振り返る。
「あんなギリギリ初めてじゃない?」
「いやー…焦ったよ。目が覚めた時点で7時50分なんだもん‼︎パニック通り越して一旦無になったわ」
「ヤバ。良く間に合ったね」
「次、生物だっけ?」
「地理」
「あー…そっち先だったか。ちょっとごめん悪あがきするわ」
「よっしゃ、私もしとこ」
ナカムが前に向き直る。
バッグの中から地理のノートとパウチ入りのラムネを取り出して、ブドウ糖をチャージしながら要点を纏めたページを見直す。
2年の二学期、指定校推薦での進学を狙う私は1点でも多く取っておきたい。
そう…足を引っ張る英語の分、他教科の手は絶対に抜く事は許されないのだ…。
不意にさっきの金髪美青年の無様な姿が頭に浮かんだ。
年上男性を吹っ飛ばす私って一体…。
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