第1章/プロローグー山中でー

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同行者/その1 「げーっ、想像をはるかに超えた田舎だなー。もう近くかも。ナビの到着予想だと、約10分でトンネルみたいだし。なんとか時間前に着きそうだね」 頼りになる”同行者”、美香の快適な運転で、どうやら地蔵地点に近づいてきたらしい。 天気も幸い崩れなかったし、うん…、もうすぐ私のマシンちゃんとご対面だ。 それから、出品者の向井さんとも。 美香はもっぱら、その出品者さんが気になるらしい。 年齢とかルックスとか…。 マシンは眼中なし! 全くナシ(苦笑)。 ... 「それで、出品者さんは年、いくつくらいなの?」 「うーん、メールのやり取りだけだし、あのバイク乗る人、年齢層の幅あるから…、分からん」 「だいたいの感じだよ!オヤジなのか若めか、なんとなくどうなのよ?」 「あんまり若くないんじゃないの?30代かなぁ」 「まあ、律子はバイク目当てで、頭いっぱいだしね。でもさぁ、相手が若くてイケメンとくりゃ、それに越したことないじゃん?今、付き合ってる人もいないんだしさ。もしかしたら、2度美味しいってこともアリかもよ…(薄笑)。まあ、独身かどうかにもよるけどね」 ニヤついたこの顔…。 相変わらず、美香は高校時代からそのまんまだよ。 さすが、彼氏の”途切れ期間なし”を更新中だ(苦笑)。 ... それに比べ、私は恋とか男には意外と淡白なんだなぁ…。 決して男の人、嫌いじゃないし、彼氏は目いっぱい、いつでも欲しいと思ってるけど。 郊外の信用金庫に地元就職して、5年目。 ルックスその他、”並み”くらいは楽にいってると自負みたいなのはあるんだが、線引き的には”地味女”だと自己分析している。 それでマイペースなもんで、コレッってこだわっていること以外は、なーんかドライなんだよね(苦笑)。 ”肝心な面”で、鈍感なところもあるらしいし…。 彼氏できないのは納得するんだな、自分でも。 ほんで、これから会う人…。 趣味が同じということで正直、美香の言葉通り、少しばかり期待してる気持ちもある。 ”あのマシンの人”、どんな人だろう?”、…って。 今度ばかりは、ワタシも”意識”はしてるみたいだ。 そうこうしている間に、まずもっての目的地、トンネルが目に入ってきた。 「コレかー、突っ込むぞー!」
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