第1章/プロローグー山中でー

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同行者/その2 雄たけびを上げて、アクセルを一気に吹かす美香。 薄暗い、ひっそりとした狭いトンネル内に響きわたるエンジン音…。 バイクは乗らないが、この女も”走り屋”だわ(苦笑)。 一気にトンネルを抜け、そのままのスピードで四駆を飛ばすその走り屋…。 「 もう、ちょっとスピード落としてよ。地蔵、見過ごすじゃない」 「わりーわりー。では、減速っと…」 確か、現場の目印は、向かって左側の道沿い。 つまり助手席側、私側…。 と、頭の中で呟いたちょうどその瞬間、妙に高い大木を背負ったような”石”が立っていたのを、通り過ぎた後に振向いて発見した。 思わず美香に顔を向けて、私は大きく声を上げた。 「あったー!過ぎちゃったよ。戻って、あそこだ」 「オー、分かった。バックするわ」 助手席から後ろを振り返って、私が”あそこ”と指さしながら指示を出すと、美香は即反応だ。 20メートルほど行き過ぎた地点で、美香は、これまたかなりのスピードでそのままバックしてね。 ちょうどお地蔵さんの目と、私の目が正面でみつめあう地点に停止したわ。 なんとも見事な到着でした…(苦笑)。
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