ライルの場合

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ライルの場合

 硬え何かが、首をかすめやがったな?ライルはすぐさまそう判断した。 「カリバーンに触れても斬れねえってのは大したもんだ。うお?!」  今度は、何かがライルの太腿を斬り裂いていた。 「メゲレズに、敵うと思うか?人間のチンピラ」  チンピラとかうるせえな。こいつ。ちっ!  ライルは、廊下を踵を返して走り出した。 「うお?!」  また、見えない何かが。 「あああああああ!解ったぜ!今の!舌だな?!って、こたあおめえカメレオンか?!」 「メゲレズの餌になれ。チンピラ人間。お前の内臓を、メゲレズが食ってやる」  カメレオンの目を浮かべて、メゲレズは壁に溶けていった。  間合いの外に出りゃ、姿消して近付くのかよ。確か、カメレオンの舌の速度って。  わずか0.1秒で、時速90キロに達する。  凄えのは、その加速度だ。コンコルドってレベルじゃねえぞ!これ!  「痛え!」  肩をかすめたライルは、どこかの職員が使っていた、部屋に逃げ込んだ。 「逃げ場はないぞ。チンピラ人間。メゲレズの舌で死ね」 「ああ?人間にゃ、お前の舌の速さには勝てねえが、これがあんだよ」  頭をツンツン差して、カリバーンを床に突き刺した。 「キングスフォートの、湖の水だ。出入り口はジルフエが塞いだ。俺と、潜りっこするか?」  カリバーンから、大量の水が噴き出し、空気をシャットアウトした部屋の中は、すぐに水に沈んだ。 「が、がば!」  たまげたのはメゲレズの方で、ライルに、舌を発射した。  遅え!水の抵抗!  メゲレズの舌を、ライルは直接掴み取った。  鋭利な舌の先端と、ライルの手。しばし、激しい命の綱引きが始まっていた。
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