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犬は褒めるのが大事
どうでもいいが、紀子の貞操の危機は近付いていた。
ビリリ、とスカートを破かれ、爬虫類のヘミペニスが、紀子の下着に巻き付こうとしていた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおい!お前えええええええええええ!今までそんな目に遭ったことないぞおおおおおおおおおお!」
「へえ?ホントに?下の一族は、君を放っておかないと思うけどね?まあ、じゃあ、子宮を寄越せ」
「あああああああああああああああああああああああああああああ!私の子宮があああああああああああ!」
もう、終わりが近付いていた。
私は赤魔道士だが、タンクが死んだ。フロアボスと私。勝てるかこんなのに。
「静也――ごめん。静也の赤ちゃん、生んであげられなくて」
その言葉を受け、けったいな現象が起きていた。
――は?
何、光ってんの?こいつの目?
「紀子の、子供を、生ませて、育てるのは――俺だあああああああああああああああああああああああああああああああ!」
「馬鹿な!あれだけの蛇毒を受けて?!」
犬が、けったいな暴走を始めていた。
「俺の、ノリリンに、手を触れるなああああああああああああああああ!」
部屋が、高圧の空気で爆裂していたのだった。
やたらめったらに放たれたカマイタチが、紀子の拘束を解いた。
床に着く間もなく、紀子は放った。
「木剋土!」
「うぎゃあああああああああああああああああああ!」
蛇は木気。土気で剋していた。
「お、おのれえええええええええええええええええええええええええ!」
フェクダの両手が、膨張しつつ爆ぜた。
正体を現したフェクダは、巨大な、前後双頭の蛇、アンフィスバエナだった。
「ムク!」
静也の大声に、慌てたようにムクはその身を曝け出した。
「ノリリン!」
「ええ!妖蛇調伏!」
私の五行と、静也の風が、アンフィスバエナを輪切りにしていった。
お姫様抱っこされて、尻をモミモミされたので、古流武術にある、眼底砕きをやってみた。
崩れ落ちた静也から、私は距離を取った。
「お座りしてろ。犬」
「な・・・・納得がいかないぞ。子供は?――静紀は?」
「勝手に名前つけんな。まあ襲われて、孕まされるの嫌だったし、まあ、お前でもいいかって、チラッと思った。で、チラッと考えて、有り得んという結論に達した」
殆ど、詐欺みたいな皇女の姿があった。
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