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内臓
が――がぶ。メゲレズの口から、気泡が漏れたのが解った。
水没していたが、ライルはジルフエによる、酸素供給を受けていた。
殆ど、詐欺みたいな王の姿があった。
まあ、でも、メゲレズの舌は、ジリジリとライルの首に届きそうだった。
カリバーンは抜けない。抜いたら、水が引いてしまう。
膠着状態は、突如メゲレズを横からかっ攫う、巨大な影によって崩されることになった。
一飲みに消えたメゲレズを確認し、ライルは、カリバーンを抜いた。
「好きに消えるカメレオンだろ?狭い部屋ん中に来た時点で、負けだろうが。なあ?」
メゲレズ飲み込んだ、濡れた毛皮を撫でた。
「よくやったなあ?ケルピー」
ケルピー。スコットランドの湖沼地帯に生息する水馬。その見た目は、寧ろ、馬の首を持った、龍に近かった。
ゲフ。ケルピーが、メゲレズの肝臓を吐き出した。
ケルピーは、獲物の内臓以外を食うのだった。
「おめえの内臓なんか、食えたもんじゃねえよな?ケルピー?」
すり寄る巨獣の首を撫でながら、妖精王は言った。
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